消費者保護基本法
(昭和四十三年五月三十日法律第七十八号)
最終改正:平成一一年七月一六日法律第一〇二号
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 消費者の保護に関する施策等(第七条―第十五条)
第三章 行政機関等(第十六条・第十七条)
第四章 消費者保護会議等(第十八条―第二十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条
この法律は、消費者の利益の擁護及び増進に関し、国、地方公共団体及び事業者の果
たすべき責務並びに消費者の果たすべき役割を明らかにするとともにそ
の施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する対策の総合
的推進を図り、もつて国民の消費生活の安定及び向上を確保することを
目的とする。
(国の責務)
第二条
国は、経済社会の発展に即応して、消費者の保護に関する総合的な施策を策定し、及
びこれを実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第三条
地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるとともに、当該地域の社会的、経済
的状況に応じた消費者の保護に関する施策を策定し、及びこれを実施す
る責務を有する。
(事業者の責務)
第四条
事業者は、その供給する商品及び役務について、危害の防止、適正な計量及び表示の
実施等必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する
消費者の保護に関する施策に協力する責務を有する。
2
事業者は、常に、その供給する商品及び役務について、品質その他の内容の向上及び消
費者からの苦情の適切な処理に努めなければならない。
(消費者の役割)
第五条
消費者は、経済社会の発展に即応して、みずからすすんで消費生活に関する必要な知
識を修得するとともに、自主的かつ合理的に行動するように努めることに
よつて、消費生活の安定及び向上に積極的な役割を果たすものとする。
(法制上の措置等)
第六条
国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行なわなけ
ればならない。
2
政府は、この法律の目的を達成するため、必要な財政上の措置を講じなければならな
い。
第二章 消費者の保護に関する施策等
(危害の防止)
第七条
国は、国民の消費生活において商品及び役務が国民の生命、身体及び財産に対して及
ぼす危害を防止するため、商品及び役務について、必要な危害防止
の基準を整備し、その確保を図る等必要な施策を講ずるものとする。
(計量の適正化)
第八条
国は、消費者が事業者との間の取引に際し計量につき不利益をこうむることがないよ
うにするため、商品及び役務について適正な計量の実施の確保を図るため
に必要な施策を講ずるものとする。
(規格の適正化)
第九条
国は、商品の品質の改善及び国民の消費生活の合理化に寄与するため、商品及び役務
について、適正な規格を整備し、その普及を図る等必要な施策を講ず
るものとする。
2
前項の規定による規格の整備は、技術の進歩、消費生活の向上等に応じて行なうものと
する。
(表示の適正化等)
第十条
国は、消費者が商品の購入若しくは使用又は役務の利用に際しその選択等を誤ること
がないようにするため、商品及び役務について、品質その他の内容に関
する表示制度を整備し、虚偽又は誇大な表示を規制する等必要な施策を講ずるものとする。
(公正自由な競争の確保等)
第十一条
国は、商品及び役務の価格等について公正かつ自由な競争を不当に制限する行為を
規制するために必要な施策を講ずるとともに、国民の消費生活におい
て重要度の高い商品及び役務の価格等であつてその形成につき決定、認可その他の国の措置が必
要とされるものについては、これらの措置を講ずるにあたり、消費者に
与える影響を十分に考慮するよう努めるものとする。
(啓発活動及び教育の推進)
第十二条
国は、消費者が自主性をもつて健全な消費生活を営むことができるようにするた
め、商品及び役務に関する知識の普及及び情報の提供、生活設計に関する
知識の普及等消費者に対する啓発活動を推進するとともに、消費生活に関する教育を充実する等
必要な施策を講ずるものとする。
(意見の反映)
第十三条
国は、消費者の保護に関する適正な施策の策定及び実施に資するため、消費者の意
見を国の施策に反映させるための制度を整備する等必要な施策を講ず
るものとする。
(試験、検査等の施設の整備等)
第十四条
国は、消費者の保護に関する施策の実効を確保するため、商品の試験、検査等を行
なう施設を整備するとともに、必要に応じて試験、検査等の結果を公表す
る等必要な施策を講ずるものとする。
(苦情処理体制の整備等)
第十五条
事業者は、消費者との間の取引に関して生じた苦情を適切かつ迅速に処理するため
に必要な体制の整備等に努めなければならない。
2
市町村(特別区を含む。)は、事業者と消費者との間の取引に関して生じた苦情の処理
のあつせん等に努めなければならない。
3
国及び都道府県は、事業者と消費者との間の取引に関して生じた苦情が適切かつ迅速に
処理されるようにするために必要な施策を講ずるよう努めなければならな
い。
第三章 行政機関等
(行政組織の整備及び行政運営の改善)
第十六条
国及び地方公共団体は、消費者の保護に関する施策を講ずるにつき、総合的見地に
立つた行政組織の整備及び行政運営の改善に努めなければならな
い。
(消費者の組織化)
第十七条
国は、消費者がその消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な組織活
動が促進されるよう必要な施策を講ずるものとする。
第四章 消費者保護会議等
(消費者保護会議)
第十八条
内閣府に、消費者保護会議(以下「会議」という。)を置く。
2
会議は、消費者の保護に関する基本的な施策の企画に関して審議し、及びその施策の実
施を推進する事務をつかさどる。
第十九条
会議は、会長及び委員をもつて組織する。
2
会長は、内閣総理大臣をもつて充てる。
3
委員は、内閣官房長官、関係行政機関の長及び内閣府設置法
(平成十一年法律第八十九
号)第九条第一項
に規定する特命担当大臣のうちから、内閣総理大
臣が任命する。
4 会議に、幹事を置く。
5
幹事は、関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
6
幹事は、会議の所掌事務について、会長及び委員を助ける。
7
前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(国民生活審議会)
第二十条
消費者の保護に関する基本的事項の調査審議については、この法律によるほか、内
閣府設置法第三十八条
の定めるところにより、国民生活審議会におい
て行うものとする。
附則 抄
1
この法律は、公布の日から施行する。
附則 (昭和五八年一二月二日法律第七八号)
1
この法律(第一条を除く。)は、昭和五十九年七月一日から施行する。
2
この法律の施行の日の前日において法律の規定により置かれている機関等で、この法律の
施行の日以後は国家行政組織法又はこの法律による改正後の関係法律
の規定に基づく政令(以下「関係政令」という。)の規定により置かれることとなるものに関し
必要となる経過措置その他この法律の施行に伴う関係政令の制定又は改廃に
関し必要となる経過措置は、政令で定めることができる。
附則 (平成一一年七月一六日法律第一〇二号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日
から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日
から施行する。
二
附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条
の規定 公布の日
(職員の身分引継ぎ)
第三条
この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、
農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治
省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法(昭和二十三年法律
第百二十号)第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会
議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるも
のを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件
をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労
働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この
条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行
の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機
関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員と
なるものとする。
(別に定める経過措置)
第三十条
第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過
措置は、別に法律で定める。
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