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■知っておくべき法律知識

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このページでは知っていると便利な法律知識について紹介します。

■諾成契約

日本では契約というと、いかめしい契約書にハンコをつくといったイメージをもたれる方がほとんどだと思います。確かに署名や記名押印といったハンコをつく書面をかかなければ効力がでないというものもあるのですが、じつは日本では契約は口先だけのまたは黙示の意思表示のみで成立します。これを「諾成契約」といいます。

なんだよ、そんなのありかよと思う方も次のような場面を考えて下さい。

(コンビニにて)

あなた:雑誌をレジに出す。「これください。」

店員 :「200円です。」

あなた:お金払う。

店員 :「有難うございました。」

このような場合はハンコつかないですよね。でも売買契約というれっきとした契約なのです。このように普段のなにげない行動も諾成契約の法律行為になります。

これを悪用しているのが悪徳業者の電話での勧誘です。「いいです。」「結構です。」または電話番号を教えた。勤務先や自宅の住所を教えたというだけで、この諾成契約を主張してきます。くれぐれも言葉には気をつけましょう。

■錯誤

「錯誤」という言葉は聞いたことはあるでしょうか?とかく民法は古臭い言葉が多いので大変です。一応民法の第95条というところで規定されております。原文は「意思表示は法律行為の要素に錯誤ありたるときは無効とす。但表意者に重大なる過失ありたるときは、表意者自ら其無効を主張することを得ず。」

となります。よくわからないですよね。これも例を出しましょう。

ある人が、車のセダンが欲しかった。しかしなんらかの手違いで2シーターの車を買うと意思表示してしまった。この人は子供がうまれるので4シーターでなければ車を買う意味がない。この場合は錯誤によって無効。

ある人が不動産を絶対に値上がりすると思って、買いました。ところが全く値上がりしないので錯誤無効を主張したが、ダメでした。

いったいどういう違いがあるのか?と思った方多いのではないでしょうか?ではなんで前者はOKで後者はNOなのか?

これが要素に重大なる錯誤なのです。前者は要素が4シーターの車を買いたいのになぜか2シーターと表示してしまった、これはあきらかに違います。後者は値上がりすることを期待して買いましたが、「不動産を買いたい。」という根本の要素には錯誤はなかった。ということになります。

解りましたか?

■無効と取り消しと撤回

これも日常的にはほぼ同様の意味ですが、法律の世界ではまるで違います。

「無効」ははじめから全く有効として効果が出ないものをいいます。誰でも主張できます。

「取り消し」は、はじめは一応有効ですが、取り消し権者が取り消しすると、遡って無効になります。

「撤回」はそのとおりに意思表示の撤回で効果を将来的に消滅させることで遡及効はありません。

ようは時間的に一時期でも有効か全く無効か?

法律行為がなくなったとき、時間軸が戻るかそのままか?

ということです。

■民事不介入

警察がよくいう「民事不介入」とはなんでしょうか?日本には「公と私」があります。公とは行政機関や官公庁の事、私はいわゆる普通の人です。一般的な犯罪事件は検察対被告人で「公対私」となります。

この民事不介入は「私対私」の問題には口をはさまないというものです。例えばよく駐車場で「無断駐車は罰金3万円を請求いたします。」とありますがこれに違反するとどうなるでしょうか?

これはいわゆる刑法上の争いというよりか、私人間の争いになります。俺のものを侵害したな、ということ。ですからこのお金を、もしとろうとしたら、民事裁判上でとる必要があります。警察はもちろん手をだしません。また自分で強引に取ろうとしたら「自力救済の禁止」で逆に自分が法律違反者になってしまいます。

■利息制限法

これは金銭の消費貸借において

元金が10万円未満〜20%

10万円以上100万円未満〜18%

100万円以上〜15%

の利息をこえるときはその超えた部分を無効とするというものです。

ですが実際にはこれをはるかに超える金利で取り引きされています。何故でしょうか?

これは自分で勝手に払う分にはかまわないという規定があるからなのです。ですから、罰がある出資法上の40%まではかなり自由に金利は定められます。

ここで一例

ある業者が商品を売りましたが、相手の業者がなかなかにその代金を払ってくれません。そこで○月○日までにお支払いなき場合は一日につき元金に5%の利息をつけます。と通知しました。しかし相手の業者は「利息制限法」があるから大丈夫とシランプリ。

はたしてこの業者はどうなったでしょうか?実は利息制限法は「金銭の消費貸借」に対するもので、売買契約には適用されません。法律の細かい文面にも気をつけるべきということでしょう。もっとも一日5%では暴利行為なので実際はどうでしょうか?

■捨て印

捨て印はご存知でしょう。しかしこの「捨て印」のこわさは知っていますか?

ともと捨て印とは民法上の訂正方法としてあるものです。いちいち契約当事者がまたハンコを持ち合って作りなおす事務手続を省く為のものです。

具体的には契約書の余白にハンコをつきます。しかしこれがクセモノ。じつはこの捨て印のわきに書き込んだことは、即法律的に効力がでてしまいます。もちろんこんなことは同意したつもりはないと主張できますが、契約書の控えがない場合や委任状などのような自分の手許にない場合は非常に危険です。銀行等では相手が信用おけますので捨て印は結構ですが、くれぐれも他では面倒でも捨て印は押さないほうが賢明です。

もっともハンコの偽造は30分もあれば簡単なので悪徳詐欺師であればどんどんいろんな方法でやってしまいますが。

■戸籍の事務

戸籍簿は一度はとったことがあるでしょう。自分の本籍や結婚のことなどが書かれています。いろいろと離婚、死亡などをくり返すと、どんどんと戸籍に追加して書かれていくので、いわゆる汚い戸籍になってしまいます。

離婚歴などをできれば隠したいという方もいらっしゃるでしょう。そこでいっぺんに綺麗にする方法を教えましょう。

市役所に行って「転籍」をしましょう。転籍をすると必要な事項しか写しませんんので、過去の履歴で効力がないものは消えます。ですから離婚の記載も消えてしまうというわけです。

もちろん戸籍簿を遡れば判明しますが、それには手間がかかりますし面倒です。離婚は新しいスタートと割り切って「転籍」してみるのもいいかもしれません。

■夫の借金は払う義務がある?

日本は基本的に「夫婦別産制」を採用しています。これはたとえ夫とはいえ、財産は別よ、ということです。しかし「日常家事債務」は連帯して負うという定めがあり、これの解釈が難しいところです。具体的には日常的な食料品や、子供の養育費などです。

さてこの夫の借金はこの日常家事債務に入るのでしょうか?これはこの借金の目的にもよります。ギャンブルや女につぎこんだといったものですと全く関係ありませんが、子供の養育費に使った等いう場合ももちろんありえます。やはりケースバイケースといえるでしょう。

日本はとかく家族の結びつきが強く親子や夫婦間の絆も非常に強いのが特徴です。しかし借金の立替を拒否する愛情もなかには必要なんではないでしょうか?

ちなみに今さかんなクレジット債務では、わざとブラックリストに載せるまで返済せずに載ってから立て替えて返済するという方法もあります。もしどうしても旦那や子供を助けたいのであれば、「次の借金先」をなくしてから助けるのがベターです。

■保証人とは?

保証人とはいったいどういう人なのでしょうか?借金の保証人、就職の身元保証人いろいろあります。

大きく分けて保証人には2つあります。ただの保証人と、連帯保証人という保証人です。前者は「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」があり後者は債務者本人と全く同じ債務履行義務を持つと思ってかまいません。

〜の抗弁権というのは簡単にいうと、俺のところにくる前に本人からとってこいや、あいつのとこには財産がまだ残ってるからちゃんと調べろやということで、分別の〜というのは、何人か保証人がいたらじゃあ俺の分は頭割りでこんだけだな。これしか払わねえよ。と言えるということです。

つまり連帯と頭につくとこれがすべて言えなくなります。ということは、お前が払えといきなり言われても拒めないんです。たとえ債務者本人にお金があってもです。俺は保証人だという主張は一切通りません。

現実の保証人契約は100%「連帯保証契約」と思って間違いありません。保証人になる=借金の借り主本人になる。ということです。ですからそれだけ保証人というものの責任は大きいのです。

自分の借金であれば払っても当然ですが、他人の借金を払わなければいけなくなるもの。これが保証人の実体です。特に商事債権の保証は非常に責任がおもいので、注意しましょう。

教訓「金はやっても、保証人のハンコつくな!」

■愛人契約

愛人契約はできないということは、有名です。現在男女の結婚以外の関係は、恋愛関係、同棲、内縁とあります。内縁に関しては最近のながれとして、配偶者とほぼ同様に扱おうという傾向が強くなっています。特に社会保険関係については「配偶者」とは「内縁関係」も含むとされているほどです。また特別縁故者への財産分与も民法上で認められております。ではなぜ、内縁関係はこのような保護があって愛人契約は認められないのでしょうか?

それは、内縁の定義の中に隠されています。内縁とは将来的に双方に結婚の意思があって、一緒にいる男女の関係というのが簡単な説明になるでしょうか?ですから同居している、仕事を手伝っている、二人に間に子供がいるなどの条件がないと「内縁」とは認められません。

つまり日本の結婚は届け出しないと成立しないので、その届出の手続だけがかけている二人ということです。

その反面、同棲や、愛人は双方に結婚の意思はありません。そこが違うとこですし、不法の原因によって成立した債務は払わなくてよいと法律でも定められております。また公序良俗という大原則がありますがこれにも反しているということにもなります。

しかし全てが全てこのように簡単にいくとも限りません。男女の中はもっと難しいものですから。また援助交際はどうなの?というのもあるとおもいます。これは現実的にいえば、条例で完璧にひっかかりますので、止めたほうが良いですよ。

■自己破産とは?

最近「自己破産」をする方が大変増えています。年間7万人、破産予備軍は150万人ともいわれています。以前はギャンブルや浪費によって借金地獄になるという方がおおかったのですが、最近はリストラや、事業資金の為という可哀想なケースが増えてます。

また「住宅ローン」による自己破産も急増しています。簡易裁判所での自己破産のFAXサービスなど国も件数の増大に対応しています。

簡単にいうと「自己破産」とは、今までの債務(借金)を帳消しにして、あらたな人生を送れるようにするものです。手続的には申し立てをして、決定を受けて、免責の申し立てをして、免責決定で晴れて自由の身に成れるわけです。

しかし、破産したから借金が全て帳消しかというとそういうわけではなく、免責が受けられなければ債務は残ります。ギャンブルにつかったという場合はでないことが多いので注意が必要ですし、1回すると10年は免責できません。

さてそれでは「自己破産」は果たして得なのでしょうか?

それはもうどうしようもない人には得だと言えます。もう逆さを向いても何もでない。地位もお金も職も財産も何もない、という方には非常にお勧めできます。

しかし、借金があっても、社会的な地位、職、財産がある場合には「自己破産」よりも「リスケジュール」という返済方法の変更交渉をしたほうが得な場合もあります。

一例ですが岸辺シローさんは御存じでしょう。ニュースキャスターとして有名な方でした。彼は5億円の借金があり、自己破産をしました。しかしそのことにより一億からの年収を稼ぐ職業を全てクビになり、お金を稼ぐ手立てをなくしてしまいました。

彼のように、一億円の年収があれば、リスケジュールによって、返済方法を変えたほうが、職も失わずよかったと思われます。

あくまでも「自己破産」は最終手段です。俗にいわれる戸籍に載るだのいうことはないですが、安易に考えないほうがいいでしょう。

また街金では破産してもかまわずに取り立てるところも多いようですから、破産したからといって道義的な責任は消えるものではありません。くれぐれも「ゼニ」には食われないように注意しましょう。

■銀行は恐い?

貸し渋りという言葉はもう流行語大賞になってもいいぐらい有名な言葉になってしまいました。自己資本規制というものの為に今銀行はやっきになって、貸出を抑えて、不良債権を消却しているのです。

今手持ちの回転資金があれば倒産しないのに、融資がきれた為に「黒字倒産」なんていう、めずらしい倒産も増えています。その手口はこうです。

会)手形の決済日が迫っているから500万円つなぎ融資してほしい。

※この会社は長年のメインバンクとしての付き合いと同時に銀行に5000万の定期預金を持っている。また根抵当として社屋、土地を担保に入れている。

銀)解りました、本店に問い合わせてみますが、御社は黒字経営でかつ当行とのおつき合いも長いですし、まず融資は通ると思います。しかし、根抵当の担保価値が多少下落しておりますので、定期預金を追加担保としていれていただけないでしょうか?

会)解りました。ではそちらも担保としていれます。

<決済日前日>

銀)申し訳ありません。本店の融資許可がでませんでした。今回は御融資できません。

会)なんでだ。決済は明日だ。もうどうしようもない。定期預金も担保に追加したじゃないか。

銀)定期の担保は、今までの不足分に充当したまでのこと。今回とはまた別の件です。

会)それでは、定期預金を解約して払うしかない。解約だ。解約する。

銀)定期預金は当行の担保として拘束させて頂きます。解約にはおいじられません。

会)解約できないのか。自分の金が5000万もあるのに。500万で不渡りをだして倒産せいというのか。

銀)残念ですが、この先は当行の関係するところではありません。

 簡単ですが、いかがでしょうか。「晴れた日に傘を貸し、雨の日に傘をとりあげる。」恐いのは、街金よりも、あなたが信用しているメインバンクかもしれません。

以下のような言葉があったら、そく付き合いは止めましょう。いずれにせよ銀行にもうつきあう気はないのですから。

「追加担保をいれてくれ。」

「保証人を増やしてほしい。」

「本店に問い合わせをしてみる。」

「定期預金の預金証書を預からせておいて下さい。」

「この分ですと競売せざるを得ません。」

「任意競売していただけませんか?」

 金言

「お金の使用する銀行と、お金を預ける銀行は別にしよう。」

「最期は、自分の現金が役に立つ。」

「競売おそるるに足らず。」

くれぐれも気をつけましょう。

■裏書きって何?

手形の裏書きという言葉は聞いたことがあるでしょうか?裏書きという言葉の通りに、手形の裏面に自分の名前や住所を書くことなのですが、これが「思った以上に」責任を負わされるということを御存じですか。

裏書きは手形を譲渡するときに、裏面の記載欄に順番に記載して譲渡されることになります。これを「裏書きの連続」といい手形の信用度のひとつの目安となります。

さてこの裏書人の責任とはなんでしょうか?手形は原則振出人がお金を期日に支払う必要があります。当座預金に額面分のお金を入れておかなければいけないのです。しかしこの不況下ですから、手形がおとせない(不渡り)になることもあります。このときに裏書き人に遡及的に支払を求めることができるわけです。つまりAさん→Bさん→Cさん→Dさんという順番で裏書きが連続していたら、Aさんが払えない場合、現在持っているDさんはCさんにCさんはBさんに請求ができるというわけです。ですから裏書き人に信用がある人、会社が名を連ねていると、その手形の信用度があがるというわけなのです。

ではこの責任は逃れられないのでしょうか?じつは裏書き欄に「この手形の支払を担保しません」と書けば責任を負わなくて良いのです。また「裏書禁止」との言葉で制限的に責任を縮小させることもできます。

手形は現在非常によくつかわれている支払い手段です。安易に保証などいう言葉で裏書きしないことです。

■根保証って何?

今、非常に有名な「商工ローン」の担保として話題になっている「根保証」というもの。あまり聞いたことがない方も多いと思います。これは一体どういったものなのでしょうか?

まず保証は、上記で説明していますので、そこを読んでもらいたいのですが、ポイントはこの「根」という1文字にあります。これがつくとつかないとでは大違いです。たんなる保証であれば大元の契約があって、それに対する保証でしかありませんから、もとの契約がなくなれば、保証契約もなくなります。

しかし、根保証になりますと、これががらっと変わります。根保証には「極度額」といったものがつきます。これは、契約一つ一つに対しての保証ではなく、継続的に契約当事者間で生じたすべての契約について、この「極度額」までは保証します、ということなのです。

ですから、最初の契約書で融資額100万、極度額1000万と書いてあったら、単なる保証であれば100万円の保証ですが、根保証であれば、1000万円まで保証したということになります。そしてこの根保証契約は、まるっきり本契約とは別個の契約ですから、5年間は継続します。

ということは、仮に甲さん債務者、乙会社債権者、丙さん根保証人とすると、甲乙間で最初100万借金、乙さん1000万円極度額根保証契約を結んだとします。甲さんはじめは頑張って100万円返済しました。乙さんも甲さん返したかと安心してしまいました。その後2年目に甲さんまた乙会社から1000万円借りました。

すると、丙さんは、なにもしなくても根保証ということでこの1000万円の保証をしていることになってしまい、もし甲さんがとんだら、払う義務がでます。なおこの場合は丙さんにわざわざ知らせる義務がありませんので、丙さんは知らないところで、1000万もの借金が作られるわけです。

このように、非常に恐い保証が根保証というもので、今はやりの商工ローンはこれに手形までかませて、巧妙にしております。本当に法律のシステムを巧妙についた方法です。

くれぐれも契約書を良く読んでサインしましょうね。

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行政書士 吉田安之 監修