電話機リース等訪問販売解約について
■電話勧誘販売とは?
電話機リース等訪問販売の苦情の増加
[国民生活センターPIO−NETに寄せられた相談件数の推移]
年度 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 (2005年11月24日現在) | |
相談件数 | 2,618 | 3,511 | 4,853 | 5,830 | 7,132 | 3,961(前年同期 2,816) |
このように昨今電話機等のリースを用いた苦情相談が非常に増えていることが伺えます。
株式会社メディアサポートに平成18年7月24日付けで行政処分もでました。
■電話機リース等の訪問販売の被害者層とシステム
主に高齢者であって、何らかの個人で事業を行っている(八百屋、美容院、印刷所、タバコ屋などなど)もしくは零細な有限会社や株式会社を持っている方をターゲットにしています。
■何故事業をしている人をターゲットにするの?
実は特定商取引に関する法律や、消費者契約法といった「消費者保護」の法令には適用除外があります。そこにはこのように記載があります。
特定商取引に関する法律 第五節 雑則
(適用除外)
第二十六条 前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
一 売買契約又は役務提供契約で、その申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供
⇒つまり、「営業」をしているものには特商法などの適用は除外するという規定がある為にクーリングオフなどの適用ができないという事情があったのです。
■電話機リース等の訪問販売の主な手口
- アナログ電話が使用できなくなる、デジタル(光、IP等もあり)の変える必要がある。
今ならば設置料はタダだが、数年後には数十万の費用が発生する。今後故障したら大きな費用がかかる。 (この説明の際にはリース料がかかる、電話機交換するなどは話さない) ただし小さく今回の工事で現在の電話機が使用できなくなるものではないなど細工をしてある。 - 今使用している電話料金よりも安くなりますよ。
携帯電話などへの通話料も安くなるIPに変えませんか?
前のリースなども当社が解約しますから (といいつつ実際にはそれほど安くならず前回のリースも残るので2つ分はらう羽目になる)
担当に連絡すると既に退職して何を言ったのかは解からない等言う。 - 訪問のときにNTTの依頼であると告げたりNTTの関連業者であるかのように
バッジや社員証、名刺などを見せて安心させる。
不安がる人には、NTTの関連店ですからと言って安心させる。
(実際にはNTTのホームページ等でも警告をしている手口等をしている業者) - 光が設置されている。今後はこの地域は変わるので今のうちに設置料がタダだから変えるほうが良い。
- 普通の零細企業や個人事業なのに1万の84回払い等とかかなり高額な必要以上の機器を取付けられる。
(適合性からみておかしい) - 今なら無料で工事します。といいつつも最終的には高額リースをさせられる。
- 大抵の方が高齢の被害者で、光ファイバー、IP電話。
デジタル回線、リースの仕組み等わかっていない。
契約書等も見ないでサインをしてしまう等の事例が目立つ。
再リースなどのこともできない等虚偽の説明で新規リースをさせられてしまう。
リース期間が終わるとタダ同然だなどの偽りの説明も行う。 - リース終了後もそのまま使えるなどの言葉を用いるケースが多いが、このようなことはない。
(実際には再リースとなる) - 事業者契約にクーリングオフ適用がないということを知らない方が多い。
契約書にサインをしようとすると、あえて「法人名」「お店の屋号」を書いてサインをして欲しいと要求する。
何故そうするかは上述。
■電話機リース等の訪問販売の実例紹介
(高齢の父親がひっかかった事例)
父親が電話のリース契約を結んでしまいました。
値段が高額な事と明らかに契約前に言っていた事に嘘があるので解約をしたいです。
7月初め 電話で「もうすぐアナログの電話回線が使えなくなる。今すぐIP電話導入の工事をしましょう。今なら工事費無料。今後契約すると工事料が取られて、料金も高くなる」などと勧誘がありました
7月○日 それを父親は信じてしまい自分の経営するお店で契約書に判を押してしまいます。
業者は個人名で契約すると後でリース料金が個人あてに来るといって事業社名で契約を結びクーリングオフできないようにしました。
リースの金額については契約のぎりぎりで記入したようです。
7月○日 業者がお店に来て機械の取り付けを行いました。
最初に説明していたIP電話のための回線工事などは行わずただ、機材を設置していきました
あたかもIP電話にしないと電話が出来なくなるような説明をし、
しかも機材自体はIP電話の機能を補助する役割だけで
実際IP電話をいれるには別途、プロバイダ等と契約しなければなりません。
つまり自分達には不必要な機能を持った高いリース料金の
機材を無理やり買わされた格好です。
7月○日 お店を手伝っている自分が電話が変わっていることに気づき、詳しく父親に聞いた所リースについて初めて聞かされました。
おかしい点がいろいろあるため、業者に電話して解約しようとした所
「事業者同士の契約は解約できない」
「リース品は解約できない」の一点張りでどうにもなりませんでした。
現在の電話のリース料金が8560円なのに対し今度の物は月額15500円の84回払いで、総額130万にもなります。
(団子屋のお父さんがひっかかった事例)
.相談内容
私の76歳の父が、NTT東日本販売店 ABC(株)(仮名)の訪問販売で、高機能かつ高額な電話機をリースで契約していた事が先週わかりました。
NTTレカムFX2という置型電話機1台とコードレス電話機1台です。
先日、ABC(株)にこの電話の定価を聞いたところ、46万円と言っていました。
リース契約は、7500円X84回で約63万円です。
昨年○月から7年間のリース契約で、すでに1年以上経過してしまいました。
父は、NTT販売店の名刺を持ったABC(株)の販売員のいうことを、NTTだから間違いないのだろうと、説明された電話機を購入してしまったようです。
また電話機は、電気店で購入する事はできず、NTTからしか購入できないものと思っていました。
父は、機械の操作に疎いので、「最低限の機能でもっとも簡単な電話」と依頼したようですが、その販売員が紹介したのはNTTレカムFX2という高機能なホームテレホンシステムで、他のNTT製電話機の紹介はなかったそうです。
ABC社の販売員は、それまで使用していた電話機が古くてPC接続などするなら新しいこの電話でないとダメというような事を言ったようです。
それまで使用していた電話機はNTT製のコードレスホンで、親機1台、子機2台で11〜2年位前に父がNTTから買ったのですが10万円程度だったと思います。
電気店で調べましたが電話機は2万円〜3万円で売っていますし、NTT製電話機でさえ4万円位で売っています。(親機1台、コードレスの子機2台)
ABC社の販売員が、NTTレカムFX2以外のもっと安いNTT製電話機も紹介したのに、父がわざわざ高い方を選んだのなら仕方がありませんが、他のNTT製電話機の紹介はまったくなかったそうですから、選択の余地が無かったといえます。
購入者名義は事業者(団子屋)である「有限会社よしだ(仮名)」なので、特定商取引法や消費者契約法は原則は該当しない、とありましたが、「消費者の定義」 について、法人でも「消費者」としてみなされるという情報をインターネットで見つけました。
<消費者の定義の要件>
「消費者」の定義の要件は,1消費生活において、事業に関連しない目的で行為すること、2自然人であること。
とか、 「消費者」の要件は、「営業又は専門的職業の目的以外の目的で取引すること」 と載っています。
契約当事者は「有限会社よしだ(仮名)」で事業者に違いありませんが、団子製造のための原材料の仕入れ契約だったならば、間違いなく「有限会社よしだ」の事業者としての契約ですので、当然クーリングオフなどができないことは当然です。
ただこの場合は違うのではないでしょうか?
⇒現在では、新たに出された通達によってこのように有限会社たる団子屋であって直接的に営業としての必要性と個人利用とを考慮して明らかに個人利用であるという場合は、たとえ有限会社何々と書いてあったとしても消費者契約としてクーリングオフ出来ることが示されております。
(高齢の両親が被害にあってしまった事例)
私の両親が、電話設備の訪問販売で、契約・工事してしまいました。
両親と、離れて暮らしているため、契約から3ヶ月経って、初めて知った次第です。
訪問:6月○日
工事日:6月○日(注文書上にはこのように記載ただし、本人の記憶では2,3日後であったとしか覚えていない。)
工事内容:前契約にかかる機種の取り外し、新契約にかかる機種の取り付け
契約までの経緯:
8年前に契約した電話、Fax機に関するリース契約有り、本年途中に契約期間終了予定であった。
リース契約終了予定の通知はまだ届いていなかった。
今年2月にも同様の訪問販売にて申し込みをする。
このときは申し込み後すぐ工事前に解約を申し出て無事解約。
このときの相手先について詳細は不明。
今年7月末再び同様の訪問販売が有り、契約、工事をしてしまう。
今回の契約の経過:
1. 訪問の際、NTTの依頼であると説明された。
2. 現時点のリース契約終了するから新しいものに替える必要があると説明。このときリースには契約満了後再リース契約を結ぶことが可能であることは説明をしていない。
3. 本人の記憶が一部不確かではあるが、この時点でリース契約が近日満了する予定であることを知らせる通知がリース会社から届いてないのは、この契約が再リースできないタイプの契約だからだというような説明された。
4. これらの説明後、機種の説明等もなく勝手に注文書、リース契約書に記入を始める。本来、一般家庭では必要の無い交換機や高性能のFAX機を価格も明らかにせず、勧めた。本人(及び連帯保証人である妻)は、現行のリース契約が満了した時点で、使えなくなると理解し、言われるがまま、契約したとの事。
5. 本人は言われるままに住所等を記入する。また、記憶が定かではないが押印もしている。どういう書類に記入、押印したかは説明も無く不明の状態。
6. ここまでで、本契約の契約額の説明も無く、勝手にリースの支払い月額、回数がきめられている。また、現リース契約への解約手続き書にも押印されている。これは解約金の請求書送付先が契約者とことなる場合の契約者の承認印である。ただし本人にはそのような説明もなく、自覚もなかった。
7. 契約に際し、クーリングオフに関する文書及び口頭での説明は、受けていない。
8. 注文書には、契約に関する条項は明記されていない。
9. リースに関わる契約書及び支払予定表等は、9/30時点で送付されてきていない。
当事者の環境/状況:
1. 会計事務所を開業しているが、3年程前からは、殆ど休業状態。実態は既に引退しており、さらなる設備投資が必要とは思われない。この状況にも関わらずリース契約(申込書)には、年商600万との記載がある。本人が書いたものかどうか不明。
2. 老人の二人暮しであり、最近の機械やサービスに疎いため、「利用できなくなる」等の説明があれば、そのまま受け入れてしまう可能性が高い。
3. 両親とも、既に年金を主たる収入として、生計を立てている。年齢と収入を考えると、今後7年に渡り、リース支払いをしていくのは負担が大きい。
相手先:日本○○システム(株)、担当 悪野大三(いずれも仮名)
当事者:被害太郎(79才) (仮名)
契約者名:被害会計事務所 連帯保証人 被害花子(77才)(いずれも仮名)
基本契約金額不明 月額支払 8,600円(70回)+16,600円(初回)
4.200円(82回)+8,700円(初回)
■電話機リース等の訪問販売への行政的な対応策
遅ればせながら平成17年12月6日に経済産業省より通達が出されました。主な内容はこのようなものとなります。
- リース提携販売等のように複数の業者が絡んでいても一体の販売業者としてみなし特商法の適用が及ぶようにした。⇒この事で経済産業省の行政的な指示監督が及びます。
- 例えば、一見事業者名で契約を行っていても、事業用というよりも主として個人用・家庭用に使用するためのものであった場合は、原則として特商法のクーリングオフなどが適用されることを明示。⇒この事で、例えばタバコ屋を細々とやっているような老夫婦が事業用などの名目で高額な電話機リースをさせられた場合、実体が家庭用電話であったときはクーリングオフができるということになります。
- 各地の経済産業局内に専用の相談部署を設けた。
(別紙)電話機等リーストラブル相談窓口
経済産業省消費者相談室
03−3501−4657
北海道経済産業局消費者相談室 011−709−1785
東北経済産業局消費者相談室 022−261−3011
関東経済産業局消費者相談室 048−601−1239
中部経済産業局消費者相談室 052−951−2836
近畿経済産業局消費者相談室 06−6966−6028
中国経済産業局消費者相談室 082−224−5673
四国経済産業局消費者相談室 087−861−3237
九州経済産業局消費者相談室 092−482−5458
沖縄総合事務局消費者相談室 098−862−4373
中小企業庁中小企業相談室
03−3501−4667
北海道経済産業局中小企業課 011−709−1783
東北経済産業局中小企業課 022−222−2425
関東経済産業局経営支援課 048−600−0334
中部経済産業局中小企業課 052−951−2748
近畿経済産業局中小企業課 06−6966−6024
中国経済産業局中小企業課 082−224−5661
四国経済産業局中小企業課 087−834−7621
九州経済産業局中小企業課 092−482−5447
沖縄総合事務局中小企業課 098−862−1452
中小企業・ベンチャー総合支援センター「なんでも相談ホットライン」
0570−009111
これらの通達の内容は非常に前向きに捉えて良いものです。
これまでの法令ではたとえ名目上でも営業者として契約をしていればそれは適用除外であるなどのいろんな考え方が錯綜をしており、明確な基準がありませんでした。
この通達によって、このような実体を伴っていない事業用名目の契約は特商法のクーリングオフなどの規制が及ぶ事を明確にしたということになります。
今後の運用に期待が持てると思います。
また東京新聞などのマスコミで継続的な取材等も行っておりますので情報提供も必要でしょう。
私の事務所でも通達改正を元にクーリングオフで対抗をする、消費者契約法や特商法の重要事項の不実告知等による対抗などを勧めています。
われわれ行政書士は日々街の法律家として、予防法務にたずさわっております。お困りなことがありましたら、ぜひ行政書士に御相談ください。当事務所でも、オンラインで業務受任、クーリングオフ等の法務相談を行っております。お気軽にどうぞ。
クーリングオフ問題に関わらず、不安がありましたら、お早めに法の専門家へご相談ください。
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